名古屋で「ひきずり鍋」といえば、鶏肉のすき焼きを指す。大みそかに食べて、「過去を引きずらないように」との願いをこめる――というのは、今は昔になった。
「ほとんど見かけない料理になってしまった」。鶏肉卸問屋が母体の「名古屋コーチン・旬菜一凰 本店」統括店長、春名克紀さん(46)は残念がる。牛肉のすき焼きが広まると、食卓から消えていったという。
実は名古屋市で生まれた春名さんも、一度も口にせずに育った。2007年に店を開くにあたり、「郷土に伝わる鶏料理を出さないわけにはいかない」と考えた。だが、試しにつくって食べてみると、しっくりこない。牛肉のすき焼きと同じ割り下を使っていたためだった。
みりんや砂糖の量を調整し…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル